第20回しまなみ海道薪能
日時 7月22日午後5時45分始
場所 愛媛県今治市大三島町宮浦
大山祇神社 源義経をはじめとする武将が奉納し国宝・重文指定を受けているの甲冑の8割が集まっている瀬戸内海大三島、大山祇神社大楠
(国指定天然記念物)前にて、神秘なる楠の樹精の下で薪能が催されました。
演目 神前奉納(午後4時始) 一昨年に355年ぶり建て替えられた神門を背として演じられました。
観世流仕舞「高砂(たかさご)」大槻裕一
大倉流独鼓「春栄(しゅんえい)」 大倉伶士郎 寺沢幸祐
本日の演能解説 大山祇神社三島宮司 NPO法人理事長石原昌和 観世流シテ方井戸良祐
観世流仕舞「融(とおる)」大槻文藏
都六条「河原の院」の旧跡を訪ねた旅僧の前に潮汲みの老人が現れ、ここは左大臣源融の旧邸で奥州塩竈の浦を模し、難波の津
から海水を運ばせ塩を焼かせて楽しんだと昔を偲ぶ。名所教えをした後、老人はふと思い出したかのように塩を汲み、姿を消した。
その夜、僧の夢の中に在りし日の姿で大臣の亡霊が現れ、月光の下で楽しげに舞を舞い、月を愛で夜明けとともに月の都へ消えて行く。
大藏流狂言「鬼瓦(おにがわら)」茂山千三郎
訴訟事で長らく在京し、やっと事叶った遠国の大名、これも日頃信仰するお薬師様のお蔭であろうと、太郎冠者を連れて因幡堂に参り
に来る。
お薬師寺様を国元へ勧請しようと思い、御堂をみているうちに破風の上の鬼瓦に目が止まる。急に泣き出した大名、鬼瓦が誰かの顔に
よく似ていると。誰の顔か・・・国元の妻の顔。懐かしさに涙を流したが、冠者にもうすぐお会いになれると言われて、そうじゃそうじゃ
とめでたく笑い止め。
火入れ
観世流能「羽衣(はごろも)和合之舞」観世流宗家 観世清和
三保の松原の漁師白竜がのどかな浦の景色を眺めていると、良い匂いがする。見ると松の枝に美しい衣がかかっている。家宝にしよ
うと思い、持ち帰ろうとすると女性が現れ「それは天人の羽衣といって人間の持つものではない、もとの通り返してほしい」と言う。
天人のものと聞いて国の宝にしようと思い、白竜は返そうとしない。羽衣なくては天に帰れないと嘆き悲しむ姿を見て哀れに思った
白竜は、羽衣を返すかわりに天人の舞楽を見せてほしいと頼むと天人は喜び、霓裳羽衣の曲を奏し後世に「駿河舞」として伝えられる
舞を舞い、七宝充満の宝をこの国土に降らし、春霞みのなか天上に帰っていく。