春の大神祭後宴能日時 4月10日(月)午前12時始
場所 桜井市三輪1422
大神神社 斎庭演目
金春流素謡「翁(おきな)」櫻間右陣
翁の詞章、(しんか)とも言う。翁は天下泰平国土安穏を祈る儀礼の曲で、神聖視され、
神事能や祝賀能等の催しでは初めに「翁」を演じ、後に常の能狂言を続けるのがきまりで
ある。奈良は古い土地で各所に能以前の翁の詞章が残っています。
大藏流狂言「福之神(ふくのかみ)」茂山千作
三輪明神を崇敬しいつも歩みを運ぶ友人二人は今日も年籠りをと誘い合いご神前にお参り
する。山に向かい「福は山へ」と豆まきをすると、どこからともなく高らかな笑い声を上
げながら現れたお方がある。驚いた二人がどなた様かと尋ねると「福の神」と名乗る。な
にか忘れてないかと言われお神酒をおつぎすると「楽しうなるよう」と謡い舞いまた高ら
かな笑い声とともに姿を消す。
地謡に大神神社神官が出仕されています。
金剛流仕舞「高砂(たかさご)」金剛龍謹
観世流能「三輪(みわ)」大槻文藏
三輪山の麓に庵をむすぶ玄賓僧都のもとに、いつも樒と閼伽の水を供えに来る女性がい
る。今日とても庵に入り「罪を助けてたぴ給え」と僧都に頼み帰りぎわに僧都に衣を所望
する。女の住まいはと問うと三輪の里、杉立てる門を導べにと告げて姿を消す。
里人がお参りに来てご神前で杉の枝に僧都の衣がかかっているのを見つけその由を僧都に
伝え参詣されるようにと勧めて退場。しるしの杉を尋ねて神垣に行くと衣がかかってお
り、褄に金色の文字で「三つの輪は清く清きぞ唐衣 くると思うな 取ると思わじ」と歌
が書かれている。すると中より声するので、末世の衆生のために姿を見せて下さいと言う
と「女姿と三輪の神」が現れ、三輪の神婚説話が語られ、さらに天照大神の岩戸隠れの神
話を再現し神楽を舞い、伊勢の神と三輪の神は一体分身だと説く。といつの間にか夜も明
けて僧都の夢は覚める。
三輪の神は、本曲でうたわれる通り大和の女の許に夜だけ通ってくる男の神であり、古事
記によれば大物主の神であるが、能では女姿として現れる
観世流一調「屋島(やしま)」井戸良祐 荒木健作
観世流仕舞「網之(あみのだん)」大槻裕一
金剛龍能「車僧(くるまぞう)」金剛流宗家 金剛永謹
昔々嵯峨野に、車僧という風変わりな僧がいたそうで、何が風変わりかというと、彼の日課は、
牛も引かないのに動くという、今にも空中分解しそうなオンボロ車であちこちを行き来すると
いうものであった。ある日、いつものごとく車僧は、愛車破れ車号に乗り込み、嵯峨野の西山
の麓で雪景色を眺めに行くと、そこに山伏が現れ、禅問答をしかけてくるのであった。しかし、
そのとき車僧少しも騒がず、簡単に山伏を言い負かしてしまうのでありました。実はこの山伏、
愛宕山の天狗が変装した者で、物好きにも変わり者車僧を魔道に誘い込み、仏法を妨げようと
考えての行動であった。
しばらくし、今度は大天狗の姿で『ほしがりません勝つまでは』の精神で、今一度、車僧に行く
らべを挑みますが、車僧は、必殺技の法力を使い、大天狗に仏法を妨げることをあきらめさせ
るのでありました。
こうして車僧の一日は、何もなかったかのごとく過ぎてゆくのでありました。めでたし。めでたし。
陪観無料です。
御供まき(午後3時半ごろ)
お茶席奉仕 石原社中