大神神社後宴能
日時 4月10日12時始
場所 奈良県桜井市三輪
大神神社
春の大神祭が終わったことを祝し、後宴能が開かれました。
演目 金剛流素謡 「神歌(かみうた)」 金剛流宗家 金剛永謹
神聖視される翁の素謡で、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣、子孫繁栄を祈るもので、能のような筋書きはない。
大藏流狂言 「福之神(ふくのかみ)」 茂山千五郎
福天神に年越しのお参りにやってきた太郎冠者と次郎冠者は、「福は内」と騒いでいると、
笑い声と共に福の神が現れ・・・・・「私たち神様にお神酒を頂戴」・・
三輪神社では「福は内」ではなく「福は山へ」
地謡に大神神社神職がご奉仕されています。
金剛流仕舞 「網之段(あみのだん)」 宇高通成
観世流能 「三輪(みわ」彩色之伝 大月文藏
三輪山の麓に庵室を構えている玄賓僧都のもとに毎日樒と閼伽の水を持って来る女がいる。罪を助けてほしいと僧都に頼み、夜寒になったので衣を一枚頂きたいと言うので、衣を与え女の住家を問うと、「わが庵は三輪の山本恋しくば とぶらい来ませ杉立てる門」と言う和歌があるがその杉立てる門を目印に来るようにと言って姿を消す。(作り物の中に入る)
里の男が満願の日にあたり参詣すると杉の枝に衣がかかっており、見ると僧都の衣なので不審に思い、知らせに来る。ご神前に来てみると、自分の衣が掛かっておりその裾に歌が書いてある。それを読んでいると、杉の内より御声がして、女姿の三和明神が現れる。神も衆生を救うため迷い深い人間と同じ心をもつことがあるので、罪を助けてほしいと言い、三輪の神婚説話を語り、天照大神の岩戸隠れの神話を語り神楽を舞うが、伊勢と三輪の神は一体の神と言い、夜明とともに消えて行く。
小書「彩色之伝」では、常とは変わり神楽留か二段神楽か、≪神は跡なく入り給へば常闇の世とはやなりぬ≫で彩色、衣装も常とは変わる。毎年本曲は、観世・金春・金剛流交替で奉納されるが、小書の演出は今回が初めである。
観世流仕舞 「善知鳥(うとう)」 赤松禎英
一調 「桜川(さくらがわ)」 上田拓司
金春流能「望月(もちづき)」 櫻間右陣
信濃の国の安田庄司友治が同国の望月秋長に討たれて後、離散した家来の小沢刑部友房は、近江の守山で宿屋の亭主となっている。友春の妻と子の花若は、敵の目を避けてさすらいの旅を続けている途中、守山に来て宿を求め思いがけなくも昔の家臣に会い、互いに懐かしみあう。そこへ偶然にも敵の望月秋長が泊まることとなる。敵討ちの時到来と友房は、友治の妻を盲御前に仕立て花若に手を引かせて、望月の座敷に行かせ謡を謡わせ、子供には八揆を打たせ自分は獅子舞を見せる。あまりの面白さと酒の酔いに眠る望月を首尾良く敵を討ち、長年の本望をとげ故郷へと帰って行く。
「石橋」は本物の獅子、本曲は人間の舞う獅子舞、ワキ、囃子、狂言方にも重い習いの曲。
後宴能終了後、拝殿前にて、御供まきが行われた。
また宝物収蔵庫前では二條流煎茶 徳良庵石原雅苑のご奉仕によりお茶がふるまわれた。