薪御能
近年、各地で野外能や薪能が行われていますが、古来、薪能といえば、興福寺南大門前の芝生で演じられ てきたものを指し、各地の薪能は戦後これに倣ったものです。 869年、興福寺修二会で薪猿楽が舞われたと伝えられており、能楽が大成される室町時代に、最も盛況を 極めたといわれています。 5月19日(金)は午前11時より春日大社舞殿で「咒師(しゅし)走りの儀」、20日(土)は午前11時 より春日大社若宮拝舎殿で「御社上り(みやしろあがり)の儀」が奉納された後、午後5時半から、興福寺南大門 跡般若の芝で「南大門の儀」が執り行われます。 一日目 咒師走り(しゅしはしり)の儀 日時 5月19日(金)午前11時始め 場所 奈良市春日野町春日大社舞殿 演目 まず始めに春日大社神職より「はじめ」の一声 金春流能 「翁(おきな)」 金春流宗家 金春憲和 他 「千歳(せんざい)」 「延命冠者(えんめいかじゃ)」茂山千五郎 「三番三(さんばそう)」大藏彌太郎 ここで奉納される「翁」は、浄衣姿の三人の翁と、素襖姿の三番三と千歳とで勤める古 いかたちを留め、また「十二月往来」は、現行観世流のものより一段と古雅な詞章を伝 え、宝数えのめでたい章句がつくのが特徴です。 「下行」 春日大社より演者に褒美として神饌と神酒が与えられる儀式 南大門の儀 日時 5月19日(金)午後5時半始 場所 奈良市登大路町48興福寺南大門跡般若の芝 雨天の為なら100年会館で開催されました。 五重塔の大規模修理が夏前より始まり素屋根に覆われますので、舞台から望める五重塔も今年限りです。 薪御能の提灯は、奉行所から始まり、在寧の金春流他大和4座が並びます。 演目 舞台あらため・外僉義(げのせんぎ) 興福寺衆徒 当初 薪御能では、舞台が野外の芝生であったため、「和紙三枚を踏んで湿り気があれば公演 を中止する」という取り決めがありました。現在では敷き舞台の上で行うためその必要はあり ませんが、芝の湿り具合いで能の有無を定めていた事を今に伝えるため演能の前に興福寺衆徒 (僧兵)により「舞台あらため」が行われ、人々にその結果を伝える外僉義文が読み上げられ ます。 これらの儀式は他では見ることのできない薪御能だけの特色です。 宝生流能「三山(みつやま)」辰巳満次郎 火入れ 興福寺衆徒 大藏流狂言「茶壺(ちゃつぼ)」茂山千五郎 茂山茂 金春流能「猩々(しょうじょう)」金春安明 主催 薪御能保存会 お申込、お問合せ 0742-30-0230 奈良市観光協会内 #
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| 2023-05-19 21:00
| 演能日誌
東大寺聖武天皇祭慶讃能
日時 5月2日(月)午後3時始 場所 奈良市雑司町東大寺大仏殿前鏡池特設舞台 雨天時は東大寺総合文化センター金鐘ホール予定 東大寺(盧舎那仏)建立に尽力された聖武天皇のご命日にちなみ法要が朝より天皇殿で、午後からは大仏殿で営まれました。 大仏殿に向かう稚児行列、僧侶の練り行列に合わせて舞楽が、法要おわりに能が演じられました。 (舞楽は午後1時 演能は午後3時より) 新型コロナウィルス感染拡大防止の為規模を縮小しての行列が続いていましたが稚児行列も復活し、晴天の下鏡池特設舞台での 演能となりました。 演目 舞楽 公益社団法人南都楽所(なんとがくそ) 観世流仕舞「兼平(かねひら)」山下あさの 「隅田川(すみだがわ)」生一知哉 華厳宗管長 東大寺第224世別当、華厳宗管長 橋村公英猊下の挨拶 観世流能「野守(のもり)」山中雅志 出羽の国、羽黒山の山伏は葛城山への旅に出て春日の里に到着した。そこで一人の老人と出会った。老人は 春日野で池を守っている野守であると言う。山伏が正面にある池の名を尋ねると、老野守は「これこそ野守 の鏡と申す、野を守った鬼が鏡を持っていたことから野守の鏡」だと語った。昔この野に鬼がいて、昼は人 の姿で野を守り、夜は野にある塚に入って住んでいたと老野守が語る。山伏が古歌にある「はし鷹の野守の 鏡」について聞くと老人の野守が語った。昔この野で帝の鷹狩があったとき、鷹の行方を見失い、野守の老人 に尋ねたところ「ここの沼におります。」と答えたので、狩人が水面を覗くと、確かに水底に鷹の姿が見えた。 よく見ると、そこは木の枝に止まった鷹の姿が水鏡に映ったものだった。老野守の説明に山伏は「野守の鏡を 見たい」と老野守に言うと鬼の持つ鏡は恐ろしいものであるから、この水鏡を見るように」と言って、老野守 は塚の中に消えて行った。 山伏が塚の前で祈っていると、塚の中から光輝く鏡を持った鬼神が恐ろしい姿で現れた。鬼神は鏡で四方八方、 天界から地獄まで天地のすべてを鏡に映した。やがて鬼神は大地を踏み鳴らしながら大地を踏み破ろうとする と奈落の底に沈んでいった。 拝観無料です。 「本サイト掲載内容を無断で転載・使用することを禁じます」 #
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| 2023-05-02 16:00
| 演能日誌
春の大神祭後宴能
日時 4月10日(水)午前12時始 場所 桜井市三輪1422 大神神社 三輪山会館能楽堂 今年も事前の申込が必要です。 厳正なる抽選の上お返事があります。 後宴能拝観のお申込について 演目 観世流「神歌(かみうた)」大槻文藏 大槻裕一 翁の詞章(しんか)とも言う。翁は天下泰平国土安穏を祈る儀礼の曲で、神聖視され、神事能や祝賀能等 の催しでは初めに「翁」を演じ、後に常の能狂言を続けるのがきまりである。 奈良は古い土地で各所に能以前の翁の詞章が残っています。 観世流、金剛流において謡のみで上演する際は「神歌」と、金春流では「翁」と夫々申し上げます。 大藏流狂言「福之神(ふくのかみ)」茂山茂 三輪明神を崇敬しいつも歩みを運ぶ友人二人は今日も年籠りをと誘い合いご神前にお詣りする。山に向 かい「福は山へ」と豆まきをすると、どこからともなく高らかな笑い声を上げながら現れたお方がある。 驚いた二人がどなた様かと尋ねると「福の神」と名乗る。なにか忘れてないかと言われお神酒をおつぎす ると「楽しうなるよう」と謡い舞いまた高らかな笑い声とともに姿を消す。 地謡に大神神社神官が出仕されています。 誠に目出度い演目で、日本の酒の祖神、三輪大明神の御神徳を心豊かに顕す狂言の代表作であります。 金春流能「三輪(みわ)」櫻間右陣 三輪山の麓に庵をむすぶ玄賓僧都のもとに、いつも樒と閼伽の水を供えに来る女性がいる。今日とても庵に 入り「罪を助けてたぴ給え」と僧都に頼み帰りぎわに僧都に衣を所望する。女の住まいはと問うと三輪の 里、杉立てる門を導べにと告げて姿を消す。里人がお参りに来てご神前で杉の枝に僧都の衣がかかってい るのを見つけその由を僧都に伝え参詣されるようにと勧めて退場。しるしの杉を尋ねて神垣に行くと衣が かかっており、褄に金色の文字で「三つの輪は清く清きぞ唐衣 くると思うな 取ると思わじ」と歌が書 かれている。すると中より声するので、末世の衆生のために姿を見せて下さいと言うと「女姿と三輪の神」 が現れ、三輪の神婚説話が語られ、さらに天照大神の岩戸隠れの神話を再現し神楽を舞い、伊勢の神と三輪 の神は一体分身だと説く。といつの間にか夜も明けて僧都の夢は覚める。 三輪の神は、本曲でうたわれる通り大和の女の許に夜だけ通ってくる男の神であり、古事記によれば大 物主の神であるが、能では女姿として現れる。 金春流仕舞「桜川(さくらがわ)」伊藤眞也 金剛流能「小鍛治(こかじ)」白頭之伝 金剛流宗家金剛永謹 一条帝は吉祥霊夢をご覧なされ、剣を献進するよう橘道成を勅使に命ぜられます。 道成は刀匠として名高い三條小鍛冶宗近に剣を打つよう命じますが、宗近は「自分と同様の刀を持った相槌 を打つ者がいないために打ち切れない」と訴えます。然し道成は断然聞き入れず、進退窮まった宗近は稲荷 明神に助けを求めに稲荷山に参詣します。そこで不思議な少年と出会い、少年は剣の威徳を称える渡来故事 や日本武尊の物語をし「相槌を勤めよう」と約し姿を消しました。そして帰宅した宗近が鍜治壇に上がり礼拝 すると稲荷明神のご神体が狐の精霊となり現れ、「相槌を勤める」と告げたのでした。(実は少年は稲荷明神 の化身)相槌を得た宗近は無事に剣を鍛え上げ、表に「小鍛冶宗近」の銘、裏にご神体が弟子を勤めた証の 「小狐」の銘、二つの銘が刻まれた名剣「小狐丸」を仕上げ、明神は「小狐丸」を勅使に捧げると雲に乗って 稲荷の峯に帰っていきました。 三輪明神 大神神社 〒633-8538 奈良県桜井市三輪1422 TEL 0744-42-6633 FAX 0744-42-0381 #
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| 2023-04-10 20:00
| 演能日誌
春のつらなり連遊会 能楽小鼓<櫻座>特別公演
日時 3月30日(木) 午前の部 能楽鑑賞 10:30~11:30 能楽小鼓<櫻座>特別公演 ランチタイム交流会 12:00~14:00 場所 京都市左京区岡崎円勝寺町91-65岡崎庵 料金 A 能楽鑑賞&ランチタイム交流会 8.500円 税+サービス料込み B ランチタイム交流会のみ 5.800円 税+サービス料込み C 能楽鑑賞会のみ 3.000円(カフェ券付き) 税+サービス料込み ランチ交流会オンライン参加 1.000円 税込み 主催 つらなり tsuranari.com #
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| 2023-03-30 20:00
| 演能日誌
令和に蘇る能「綱」&創作作品「八尾」披露公演
日時 3月21日(火祝)午後1時半 始 場所 八尾市光町2-40八尾市文化会館プリズムホール 演目演者 解説 西野春雄(法政大学名誉教授 能「綱」作者) 福田祐美子(八尾市立しおんじやま古墳学習館学芸員) 創作作品「八尾(やつお)」飯冨雅介(高安流ワキ方)橋本宰(高安流ワキ方) 八尾という地名の起こりの一つと言われる「八つの尾を持つ鶯」の伝説に基づき、この度新たに創作された。 今回は八尾・高安発祥の高安流ワキ方を中心とした、ワキ方のみによる作品として初上演する。 観世流仕舞「井筒(いづつ)」塩谷 恵 「高安(たかやす)」山階彌右衛門 ともに「伊勢物語」二十三段を軸とした、在原業平と女たちの物語。 「井筒」は紀有常の娘を主人公として業平との恋物語を、「高安」は業平が通った高安の女を主人公として、業平がその道中 で笛を吹いたとする名所「笛吹きの松」を中心に展開する。 「高安」は能の名曲「井筒」のスピンオフ作品で、約300年前に上演記録が残るがその後廃絶。平成28年度に復曲され八尾市文 化会館小ホールにて上演された。 大藏流狂言「伯母ヶ酒(おばがさけ)」善竹隆司 善竹隆平 復元能「綱」が伯母に化けた鬼の話であることに関連して選曲。 酒飲みの男が酒屋を営む伯母に酒をせがむものの、なかなか酒を飲ませてもらえない。酒屋の近くで鬼が出ると聞いた男は、鬼 に化けて伯母を脅かすが・・・・・ 観世流復元能「綱(つな)」山中雅志 室町時代に実在した曲で、能の名曲「羅生門」の後日談。 高安山麓に実在する通称「手塚」と呼ばれる古墳の鬼の伝説にまつわる能を復元し、令和3年6月の研究公演、令和4年12月の東 京特別公演を経てこの度初めて八尾にて披露。 鬼の腕を切り落とした渡辺綱のもとへ、高安から綱の伯母がやってくる。しかし実際は綱に腕を切られた鬼(茨木童子)が化けていた。 [問い合せ先] プリズムホールチケットカウンター ※9:00~19:00・月曜休館(祝日の場合は翌平日) TEL:072-924-9999 #
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| 2023-03-21 20:00
| 演能日誌
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