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薪御能初日

薪御能  近年、各地で野外能や薪能が行われていますが、古来、薪能といえば、興福寺南大門前の芝生
     で演じられてきたものを指し、各地の薪能は戦後これに倣ったものです。
     869年、興福寺修二会で薪猿楽が舞われたと伝えられており、能楽が大成される室町時代に、最
     も盛況を極めたといわれています。
     15日は春日大社舞殿で「咒師(しゅし)走りの儀」、16日は春日大社若宮社で「御社上り
     (みやしろあがり)の儀」がそれぞれ午前11時から奉納された後、午後5時半から興福寺南大門跡
     般若の芝で「南大門の儀」が執り行われます。

薪御能 一日目
日時 5月15日(金)(開催日が5月第3金・土曜日に変更になっています)
     咒師走り(しゅしはしり)の儀 午前11時始
         ここで奉納される「翁」は、浄衣姿の三人の翁と、素襖姿の三番三と千歳とで勤める古いかたち
         を留め、また「十二月往来」は、現行観世流のものより一段と古雅な詞章を伝え、宝数えのめ
         でたい章句がつくのが特徴です。
場所 奈良市春日野町春日大社舞殿
演目 金春流能 「翁(おきな)」 金春穂高 
        「千歳(せんざい)」 「延命冠者(えんめいかじゃ)」 茂山茂
        「三番三(さんばそう)」 大藏千太郎
        「下行」  春日大社より演者に褒美として神饌と神酒が与えられる儀式
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 南大門の儀 午後5時半始
場所 奈良市登大路町48興福寺南大門跡般若の芝
       (初日は雨天のため奈良県文化会館国際ホール
演目 舞台あらため・外僉義(げのせんぎ)」
         当初 薪御能では、舞台が野外の芝生であったため、「和紙三枚を踏んで湿り気があれば公演
         を中止する」という取り決めがありました。現在では敷き舞台の上で行うためその必要はありま
         せんが、芝の湿り具合いで能の有無を定めていた事を今に伝えるため演能の前に興福寺衆徒
         (僧兵)により「舞台あらため」が行われ、人々にその結果を伝える外僉議文が読み上げられま
         す。これらの儀式は他では見ることのできない薪御能だけの特色です。
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    演目 宝生流能 「巴(ともえ)」 辰巳満次郎
木曽の山家をでて都を目指す僧が、琵琶湖のほとり粟津の原までやって来る。そこで、涙を流し神に祈る女
に出会い僧が言葉を掛ける。女は松の木陰で夜もすがら読経して木曾義仲を弔うよう頼み姿を消す。
夜も更け回向する僧達の前に巴の霊が甲冑姿で現れる。女であるが故に召し具されなかった恨みが執心と
なり、未だ晴れやらぬと訴え主の最期の有様を詳しく語って聞かせる。
合戦のさなか義仲より肌身の物を持ち木曽へ向かうよう言いつけられ、共に自害も出来ずただ泣くばかり
であったと。敵方が多数押し寄せ長刀で追い払い再び主君の元へ戻ると自害の後で、巴は小袖を抱き小太刀
を持って木曽へ落ちていった事を語り、僧に回向を頼み消えていく。
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     火入れ 興福寺衆徒
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   大藏流狂言 「千鳥(ちどり)」 茂山童司 茂山あきら 丸石やすし
主からいつもの酒屋へ行って酒を求めてこいと命じられた太郎冠者。酒屋の亭主からは借金を返し終わる
までは渡さぬと断られるが、亭主が話し好きをさいわい尾張の津島祭り見物の話しをし、酒樽を千鳥に見
立て謡いながら持ち帰ろうとするが失敗。次には酒樽を山鉾に見立て曳く仕草を、次には流鏑馬の仕草をと。
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   金春流能 「野守(のもり)」 金春流宗家金春安明
羽黒山の山伏が大峰葛城山に行く途中、春日の里に着き、折りよく出会った老人に謂れのありそうな池に
ついて尋ねると、自分達のような野守が姿を写すので「野守の鏡」と言うと答え、本当の野守の鏡とは昼
間は人となり、夜には鬼となって野を守る鬼神の持っていた鏡の事だと語る。山伏がまことの鬼の
持つ野守の鏡を見たいというと、それを見れば恐ろしく思うだろうから、この水鏡を見るようにと言い捨
てて、老人は姿を消す。
里人に野守の鏡について詳しく聞かされ、先程の老人は鬼の化身かと思い姿を消した塚の前で祈っている
と、鬼神が野守の鏡を持って現れ、天地四方八方をくまなく写しだし、すはや地獄に変えるぞと、大地を
踏み破って奈落の底へ入って行く。
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        附祝言

by easysailing | 2015-05-15 21:00 | 演能日誌


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